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picトピックス2026年5月15日

光学設計とは|基礎知識・設計プロセス・依頼先の選び方を解説
光学設計のプロフェッショナル カラーリンク・ジャパンさんに聞く

光学製品の開発では、「シミュレーションでは完璧だったのに、実際に作ってみると性能が出ない」というトラブルが少なくありません。これは、光学設計が極めて精密なバランスを求められる技術だからです。

そこで本記事では、光学設計の基礎知識から、失敗しないパートナー選びのコツなどについて、光学設計のプロフェッショナルであるカラーリンク・ジャパン株式会社の小松さん、石黒さん、笹川さんのお三方にお話を伺いました。

光学設計とは?レンズ・ミラー・プリズムで光を制御する技術の基礎

―まずは光学設計とはどんなものか、簡単に教えてください。

小松さん:光学設計とは、レンズやミラー、プリズムなどの光学部品を組み合わせ、光の進み方や性質を最適に制御するシステムを構築する技術です。単にレンズを並べるだけではなく、光の「収差(ボケや歪み)」を補正しながら、製品が求める解像度や明るさ、照射範囲といった性能を最大限に引き出せるよう、部品の構成や形状、材質を総合的に決定していくプロセスを指します。

石黒さん:さらに、量産性やコスト、組み立てのしやすさまで考慮し、実際の製造現場で安定した品質を実現できる設計であることも求められます。設計図面上で成立しているだけでなく、製品として広く普及させるための技術や知見が、非常に重要なポイントだと言えますね。

笹川さん:光学設計には種類があって、その用途や目的によって、以下のように3つのカテゴリーに分けられます。目的の違いによって、設計思想や重視すべき性能は大きく変わります。これらの分野は求められる技術やノウハウが大きく異なるため、企業によって得意とする領域にも差があります。どのカテゴリーに強みを持っているかは、パートナー選びを考えるうえで重要な観点の一つになります。

カテゴリー 役割 主な例
① 結像系 対象物の像を「正確に」結ばせる設計 カメラ、顕微鏡、検査装置、投影機など
② 照明・集光系 光を「広げる・集める・均一にする」設計 LED照明、ヘッドライト、表示装置など
③ 虚像系 接眼光学系等を通じ「あたかもそこにあるかのように」見せる設計 ARグラス、VRゴーグル、車載HUDなど

産業用の光学ユニット設計や光学機器設計、さらには医療・宇宙分野の光学システム設計まで、求められる設計思想は用途によって大きく異なります。

―近年の光学設計は、単なる性能向上にとどまらず、「小型・軽量化」といった新たな要求に応える段階へと進化していると聞きます。最近のトレンドについて教えてください。

石黒さん:トレンドとしては、以下の3つが主に注目されています。

① AR/VR・スマートグラスの進化

日常的に使用可能な眼鏡型への進化に伴い、MicroLEDと光導波路(ウェーブガイド)技術の進展が目覚ましく、極薄レンズでの高輝度表示が求められています。これには従来の光学だけでなく、回折光学を用いた高度な「虚像系」設計のノウハウが必要です。

② 遠隔手術などの医療分野への展開

遠隔手術などの医療用途では、1mmのズレも許されない精度が求められます。現実空間に情報を寸分違わず重ねる高精度な「虚像設計」が、安全性と作業効率を左右します。

③ 宇宙探査・衛星コンステレーション

地球観測衛星の小型化や深宇宙探査の拡大により、宇宙用光学系には究極の軽量化と高い信頼性が求められています。また、衛星間レーザー通信に対応するための超高精度な光軸制御も重要なテーマとなっています。

光学設計のプロセスとは?要件定義から量産化までの5ステップ

―実際に光学設計を依頼したいとなったときに、気になるのがどんな流れで進むのか、ということです。具体的なプロセスを教えてください。

小松さん:確かに、実際にどのような段階を経て製品化まで進むのかは気になるポイントですよね。当社では以下のようなステップで進めますが、企業によって異なるかもしれないので事前に確認しておくと安心だと思います。

ステップ①:要件定義

まずは製品コンセプトや用途をもとに、必要な光学性能を具体化します。「どれくらいの明るさが必要か」「使用環境(温度・振動・屋外/屋内など)はどうか」「量産化は必要か」といった条件を整理し、設計可能な数値へと翻訳します。

ステップ②:概要設計・詳細設計

要件をもとに全体の方向性を決め、具体的な設計値を詰める工程です。材料の構成やサイズ、制約条件やコストとのバランスを検討しながら、お客様の求めるイメージへと落とし込んでいきます。

ステップ③:公差設計

量産時のばらつきを想定し、成立性を検証する工程です。レンズ中心ズレや傾き、曲率誤差や厚みの誤差などをシミュレーションし、製造過程でのミスを防ぐことをめざします。

ステップ④:試作・評価・補正

設計値を実機で検証する工程です。シミュレーションでは見えなかった課題に対し、設計側の修正だけでなく、工程で吸収するか、設計で吸収するかを判断し、量産条件を固めていきます。

ステップ⑤:量産化

確立した設計と条件をもとに量産を開始します。量産では「性能が出る」だけでなく、安定して再現できることが重要になります。

光学設計を依頼する際の3つのリスクとは?

―光学設計は非常に専門性の高い分野なので、依頼先を間違えると大変なリスクになりますよね。特に製品の発売日が決まっているときなどは、スケジュール通りに進めたいところです。

石黒さん:その通りで、実際に当社でも「製品化できない」「量産できない」と駆け込まれるケースがあります。ただ、お客様にとってはどんなリスクがあるのか、いまいち見えづらいのも事実ですよね。以下によくあるリスクとして3つご紹介しますので、ご依頼時に注意しておく必要があります。

1. 曖昧な要望が招く「仕様の迷走」

「もっと明るく」「端までくっきり」「とにかくきれいに」といった感覚的な要望は、設計に必要な「数値データ(解像度、歪曲収差、透過率など)」に翻訳しなければ設計図になりません。数値化が得意でない、もしくはお客様の要望をそのまま設計してしまうパートナーに依頼すると、「求めていたものと違う」というミスマッチが起こることもあります。

2. 「机上の空論」による性能の未達

シミュレーション上では完璧でも、実際の製品で同等の性能が出るとは限りません。レンズはミクロ・ナノ単位の微細な世界です。製造現場を知らない設計者が作成したデータでは、わずかな組み立て誤差で性能がガタ落ちしたり、試作を繰り返すたびにコストが増大したりするリスクがあるのです。

3. 製造性を度外視した「作れない設計」

光学設計は自由度が高い反面、物理的に製造が困難な形状や、極端に歩留まりが悪くコストが跳ね上がる形状が設計できてしまいます。設計に特化しすぎた企業に依頼すると、いざ量産フェーズに入った際に「壊れやすい」「価格が見合わない」「そもそも作れる工場がない」といった事態に陥る危険性があります。「プロに依頼するのだから、そんなことは起きないだろう」と思うかもしれませんが、実は非常によくあるケースなのです。

光学設計の依頼先選びでお悩みなら

偏光技術に特化した カラーリンク・ジャパンまで。 三井物産プラスチックがご案内します。

信頼できるパートナー選びのチェックポイントは?

―では、実際に光学設計を依頼するとなったとき、どのような視点で見極めればよいのでしょうか?

笹川さん:パートナー選びは、光学設計で最初の難所です。専門的な分野なのでわかりづらいかもしれませんが、以下の3つの点を事前にチェックすると、どんな企業なのかがわかりやすいかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

チェックポイント①:曖昧な要望を「具体的な設計数値」へ翻訳できるか?

光学開発の初期段階では、要求仕様が明確に定まっていないことも少なくありません。「とにかく明るくしたい」「もっと小さくしたい」といった抽象的な要望しかないケースもあるでしょう。そのような状態からでも、用途や制約条件を整理し、「この用途であれば、この数値を目標に設計しましょう」と具体的な方向性を提示できるかどうかが、パートナーの力量を大きく左右します。

チェックポイント②:設計から量産までを「一貫して」担える体制があるか?

次に重視すべきは、設計から試作・評価、そして量産化までを一貫して担える体制があるかどうかです。光学の世界では、設計と製造の間に”勘所”が存在します。図面上では成立していても、実際の加工や組立の現場では成立しない設計も少なくありません。自社で組立や評価まで行っている企業であれば、量産時に起こり得るトラブルを設計段階で予測し、未然に回避することが可能です。

チェックポイント③:工程の「部分的な相談」にも柔軟に応じる姿勢があるか?

さらに、柔軟に相談に乗ってくれる姿勢も重要です。依頼側は、すべての工程を一括で依頼するとは限りません。試作1点だけ、評価のみ、あるいは(数ある部品のなかで)ある特定の部品のみを希望するといった依頼が発生することもあります。そのようなニーズにも柔軟に対応できるパートナーであれば、信頼関係を築きやすくなります。

光を操るプロフェッショナル「カラーリンク・ジャパン」とは?

―ここまで、光学設計の基礎知識や設計プロセス、依頼時に想定されるリスク、そして信頼できるパートナーを見極めるためのポイントについて解説していただきました。最後に光学設計のプロフェッショナル、カラーリンク・ジャパン株式会社をご紹介をお願いします。

大手企業との取引実績が示す信頼性

小松さん:カラーリンク・ジャパン株式会社は、新潟県上越市に本社を置く、偏光制御技術に特化した精密光学部品メーカーです。独自の「光操作技術」を武器に、AR/VRデバイスやプロジェクターといった最先端分野で、世界的に事業を展開させていただいています。

石黒さん:当社の強みのひとつとして、どなたも名前を聞いたことのある世界的企業との取引実績を多数有している点があります。要求仕様が高度であるほど、設計と製造のわずかなズレが許されない光学分野において、継続的な取引が行われていること自体が、技術力と対応力へ信頼いただいている証だと自負しています。

「一気通貫」が生み出す量産体制

笹川さん:光学部品は、ネジや一般的な機械部品とは性質が大きく異なり、わずかな異物の付着やミクロン単位のズレが、性能低下や歩留まり悪化に直結する非常に繊細な分野です。製造現場の実情を深く理解している当社だからこそ、量産時のトラブルを最小限に抑える「手戻りの少ない設計」を実現できるのです。

また、プロジェクト推進において重要となる「スピード感」にも自信があります。発売日や導入時期が決まっている製品では、試作のやり直しによる遅延は致命的になりかねません。設計から製造、そして評価までを一気通貫で進められる体制により、不要なやり取りや確認作業を減らし、最短ルートでの製品化を支援できます。

小松さん:先ほども触れましたが、仕様が固まりきっていないお客様が多いため、当社では初期段階からご相談を受け付ける柔軟性もご好評いただいています。「目で見えればいい」「とにかくきれいに」といった感覚的な要望であっても、課題を整理し、必要な性能指標へと落とし込みながら最適な光学構成を提案します。また、小ロットでの試作や、評価のみ依頼したいといった部分的な依頼にも対応できるため、開発状況に応じてご相談いただければと思っています。

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PROFILE
小松 拓也さん

小松 拓也さん
SPIC事業部 部長(Creating Innovation Polarization Specialist)
偏光技術を起点にイノベーションを創出するSPIC事業部を率いる。「Creating Innovation Polarization Specialist」の名の通り、偏光の専門性を新たな価値へと転換し、これまでにない事業領域の開拓に挑戦している。既存市場に依存せず、技術の可能性を再定義しながら異業種との接点を創出。用途そのものを設計するアプローチにより、新規事業の立上げを推進している。

笹川 正幸さん

笹川 正幸さん
SIPC事業部 オプティカルソリューショングループ グループリーダー
3D表示・XRデバイス向け光学モジュールの開発から量産化までを担う。Pico-Projector、VR・AR用光学モジュールなどの開発プロジェクトにおいてプロジェクトリーダーを務め、設計・評価・量産プロセス構築を一貫して推進してきた。

石黒 智一さん

石黒 智一さん
技術部 開発技術グループ グループリーダー
光学デバイスの製造プロセス構築を担い、性能劣化の要因となる光学歪を理解・制御したモノづくりを推進。プラスチックフィルム、ガラス、液晶ディスプレイなどの異素材複合品において、接着・貼合・切断・組立の量産化を主導し、安定した品質と高い生産性の両立を実現してきた。近年は、光硬化型液晶ポリマーを用いた精密露光・製膜技術による光学部品開発に従事。製造と開発の両面で培った知見を活かし、光学設計に不可欠な重要部品の実現に取り組んでいる。

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