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pic素材を知る2025年12月1日

世界で主流の無溶剤型。ダウ・東レが進める剥離剤の戦略とは

環境規制やBCP(事業継続計画)への対応が求められる中、製造現場では、“剥離剤の見直し”が静かに進み始めています。注目されるのは、溶剤型から無溶剤型・エマルジョン型への「脱溶剤化」。さらに、白金高騰や調達リスクといった課題も顕在化しています。こうした動きの背景と対応策について、三井物産プラスチック株式会社でシリコーン剥離剤を担当する、本江満氏に話を伺いました。

なぜ今、「脱溶剤化」が注目されているのか?

世界的に進む環境規制への対応として、製造現場では「脱溶剤化」が注目されつつあります。特にヨーロッパをはじめとした各国では、揮発性有機化合物(VOC)の排出削減に向けた規制が進んでおり、日本も将来的に同様の動きが広がると見られています。

こうした中、注目を集めているのが「シリコーン剥離剤」の分野です。これまで一般的に使用されてきた溶剤型に代わり、無溶剤型やエマルジョン型など、環境負荷を抑えた製品への転換が求められています。

三井物産プラスチック株式会社で、シリコーン剥離剤の営業を担当する本江氏は、こう語ります。

「日本ではまだVOCに関する法規制が厳しくはないため、脱溶剤化の対応が義務化されているわけではありません。ただし、海外動向を見ると、“来るべき規制”に備えて、早期に動き出す企業様が増えています。実際、10年前と比べると、脱溶剤化に関するお問い合わせや切り替えの実例は、確実に増えていますね」

企業が直面する「脱溶剤化」の課題とは?

環境負荷低減への意識が高まる一方で、脱溶剤化の導入には、技術的・経済的なハードルが存在します。無溶剤型の剥離剤を使用するには、従来の設備では対応できず、塗工機器の刷新や技術者の再教育が必要になると、本江氏は説きます。

「今使われている多くの設備は、溶剤型に最適化されています。無溶剤の塗工には新設備の導入が必要になるんです。また、その投資は小さくはないんです。無溶剤型の塗工には技術的なノウハウが必要で、設備が揃ったとしても、すぐに切り替えられるというわけではないんですよ」

本江氏によれば、導入までに半年から1年以上かかる場合もあり、先を見越した検討が重要だといいます。

「大手企業様の動きに追随するかたちで、いわゆる“セカンドレイヤー”、“サードレイヤー”の企業様も、少しずつ検討を始めています。『いつか来る』ではなく、『そろそろ準備しないと間に合わない』という意識が、徐々に広がってきている——そんな肌感覚がありますね」

なぜ「白金」はシリコーン剥離剤の“見えないコスト”なのか?

シリコーン剥離剤のもう一つの大きな課題が、「白金触媒」の使用による、コスト高です。白金は世界的に価格変動が激しく、調達リスクも大きいため、安定供給とコスト管理の両面で問題となっています。

本江氏は、こうした課題に対するダウ・東レの取り組みについて説明します。

「私たちが取り扱うダウ・東レのシリコーン剥離剤には、低白金処方の製品があります。従来よりも少ない白金量で硬化が可能なため、材料コストの抑制につながりますし、低温での硬化が可能になることで、エネルギー使用量も削減できます。これによって、環境対応・作業効率・コストの三つを、同時に改善することが可能になるんです」

ダウ・東レの低白金処方の製品は、まるで今の時代の流れを見越して開発されたかのように見えるが、実はそうではないという。

「もともと無溶剤型の製品は30年ほど前、作業環境改善のために開発されたのが始まりです。正直、当時は使い勝手の悪さから、普及がなかなか進みませんでした。しかし、ここ数年の環境意識の高まりと技術改良によって、再び注目され始めたというのが実情です」

持続可能性とコストの両立が求められる今、改めて“低白金”という選択肢に、注目が集まっているのでしょう。

シリコーン剥離剤の調達リスクとは?

こうした原材料の不安定さに加えて、もう一つ見逃せないのが、調達におけるサプライチェーンリスクです。シリコーン剥離剤に限らず、昨今のサプライチェーンでは、「1社依存」のリスクが大きな課題となっています。自然災害、地政学リスク、物流混乱などの影響で、原料や製品の供給が一時的に止まるケースは少なくありません。

「地震や火災でメーカーの工場が止まったり、物流が遮断されたりすることは、実際に起きています。剝離剤の業界でも、供給トラブルでお客様のラインが止まる事例がここ数年の間でもありました。そのため、最近では『1社だけに頼るのは怖い』というお声が増えており、2社購買を検討されるお客様も、とても増えていますね」

こうした背景から、代理店による在庫確保や調達体制の強化も重要になっているそう。

「当社としても、製品の在庫を一定量確保することで、お客様が緊急時にも安定して製造を続けられるよう、サポートしています。BCP(事業継続計画)の観点でも、こうした体制整備は、今後ますます重要になるでしょうね」

製造現場の脱炭素化とサステナブル化が求められる今、剥離剤の見直しは、静かに、しかし確実に進みつつあります。設備や技術的ハードルを越えるには時間がかかりますが、備えの有無が将来の競争力を左右する時代が、すでに訪れているのかもしれません。

ダウ・東レのシリコーン剝離剤が選ばれている理由とは?

このような時代の変化を踏まえて、環境対応とコスト抑制の両立を実現する次世代の選択肢として、ダウ・東レのシリコーン剥離剤が今、注目されています。

「ダウ・東レ様は、環境対応と技術的な信頼性の両面で、非常にバランスの取れたメーカーです。製品の幅が広く、エマルジョン型や無溶剤型など、環境負荷の少ない選択肢が揃っているうえに、白金量を抑えた低コスト処方も用意されており、お客様ごとのニーズに合わせた提案ができるんです。BCPの観点からも、信頼できる別ルートとして、導入を検討いただく企業様が近年すごく増えているのも、納得だと思います」

本江氏は最後に、こんな悩みを抱える企業に、メッセージがあるといいます。

「脱溶剤化や調達分散、コスト削減など、多くの企業様が何から手をつけてよいかわからず、立ち止まっている印象を受けます。ですが、情報収集からでも構いません。今のうちから準備しておけば、いざというときに必ず差が出ます。まずは当社に、お気軽にご相談いただければと思います」

ダウ・東レのシリコーン剥離剤に関する資料請求や、導入相談をご希望の方は、三井物産プラスチックまでお気軽にお問い合わせください。

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PROFILE
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三井物産プラスチック株式会社 本江
営業第1部門  化学品・添加剤事業部 工業化学品グループ
シリコーンマーケットデベロップメントマネージャー。2021年入社。
入社以降、シリコーン製品の拡販に従事。

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