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picトピックス2025年9月25日

物流アウトソーシングは次の段階へ。 製造業で進むSCM・EMS戦略とは

いま、製造業の経営戦略において「物流」がこれまで以上に重要視されています。人手不足、コストの上昇、脱炭素対応、BCPなど、企業を取り巻く環境は複雑さを増し、従来の内製型物流では対応しきれないケースも少なくありません。

こうした背景から、物流業務のアウトソーシングが再評価され、さらにその先を見据えたSCM(サプライチェーン・マネジメント)や、製造プロセス全体を委託するEMS(製造受託サービス)への関心が高まっています。

本記事では、物流アウトソーシングの基本から、なぜSCMやEMSという視点が必要とされているのか、そして三井物産プラスチックが提供する支援の特長まで、詳しくご紹介します。

なぜ物流アウトソーシングが注目されているのか?

製造業を取り巻く環境が急速に変化する中、物流の見直しは経営戦略の重要な一手となりつつあります。 ここでは、なぜいま物流アウトソーシングが注目されているのか、まずはその背景について詳しくご紹介します。

固定費を変動費化し、経営を柔軟に

第一に挙げられるのが、固定費の圧縮です。物流を自社で内製化している場合、倉庫の維持管理費や設備投資、人件費といった固定費が重くのしかかります。とくに荷量の変動が大きい事業では、閑散期でも一定の固定費が発生し、収益圧迫の原因となっていました。アウトソーシングによって、これらの費用を変動費化することで、荷量に応じた柔軟なコストコントロールが可能になります。

深刻な人材不足と「2024年問題」

次に、人手不足への対応があります。物流現場では深刻な人材難が続いており、2024年問題(時間外労働の上限規制)も相まって、ドライバーや倉庫作業員の確保がますます難しくなっています。こうした中、専門性と人材ネットワークを持つ専門会社3に委託することで、人員確保や教育の負担を軽減できる点は大きなメリットです。

脱炭素・ESGへの対応が急務に

また、企業のESG対応や脱炭素への圧力も無視できません。製造業においてはScope3(サプライチェーン全体のCO₂排出量)への対応が求められ、物流も例外ではありません。物流専門会社は、輸送ルートの最適化や共同配送、モーダルシフト(鉄道や船舶の活用)などの環境負荷低減策を提案できるため、企業のサステナビリティ戦略の一環として物流を見直す動きが広がっています。

配送品質が競争力を左右する時代へ

さらに、物流は今や企業競争力を左右する要素でもあります。とくにECやD2Cといったビジネスモデルでは、配送スピードや在庫精度が顧客満足度に直結します。自社で高度な物流体制を整えるには限界があるため、物流の専門家と連携することで、スピーディーかつ正確なサービス提供が可能になります。

このように、コスト、人材、環境、スピードといった複合的な課題に対応するため、物流を外部の専門企業に委ね、本業に経営資源を集中させる流れが加速しているのです。つまり、物流アウトソーシングは、単なるコスト削減策ではなく、経営戦略の一環として再評価されていると言えるでしょう。

物流アウトソーシングとは?

では、そもそも物流アウトソーシングとはどのような仕組みで、どんな役割を担うのでしょうか。ここでは、物流アウトソーシングの定義と代表的な形態「3PL」について、具体的にご紹介します。

自社で抱える物流業務の限界

物流アウトソーシングとは、企業が自社で担っていた物流業務(商品の入出庫、在庫管理、配送手配など)を、外部の専門業者に委託することを指します。委託の範囲によって「部分的アウトソーシング」と「一括アウトソーシング」に分かれますが、いずれも共通しているのは、企業が物流業務から手を離し、本業に集中できる点にあります。

たとえば、機械メーカーであれば製品開発や製造、品質管理に力を注ぎたいところですが、自社で倉庫を運営し、出荷作業や在庫管理まで対応するとなると、相当な人手と設備が必要になります。繁忙期には業務が逼迫し、逆に閑散期には固定費が重荷になるという課題も。こうした非効率を解消する手段として、物流アウトソーシングが選ばれるようになってきたというわけです。

注目される「3PL」の仕組み

なかでも代表的なのが「3PL(サードパーティ・ロジスティクス)」と呼ばれる形態です。これは、物流の専門事業者が、メーカーや卸などの荷主企業から物流業務全般を受託し、入出庫管理、在庫管理、輸配送の手配、帳票処理、返品対応などをトータルに代行するビジネスモデルです。倉庫拠点や輸送ネットワークを持ち、繁忙期対応や拠点拡張にも柔軟に対応できるため、近年では多くの企業が導入するようになりました。

3PLの導入によって、企業は自社で倉庫や配送体制を保有せずに済み、固定費を削減することが可能になります。また、最新のWMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)を活用することで、在庫の可視化やリードタイムの短縮といった高度な物流オペレーションが実現できるのも大きな魅力と言われています。

外注化のデメリット

一方で、物流を切り離すことで「自社のコントロールが効かなくなるのでは?」という不安もあります。しかし、信頼できる3PL事業者とパートナーシップを築けば、自社のKPIに基づいた運用管理や定期的な改善提案を受けることができ、むしろ自社で運営するよりも高品質かつ効率的な物流が実現できます。

物流アウトソーシングの次に求められているものとは?

3PLによる物流の外部委託は、多くの企業にとって大きな効果をもたらします。しかし近年では、それだけでは十分に対応できない課題も浮上してきました。ここからは、物流アウトソーシングの限界と、そこから一歩進んだ「SCM」「EMS」について見ていきます。

部門最適では越えられない壁

3PLは、入出庫や在庫管理、配送といった「物流実務」に特化したアウトソーシングです。業務の効率化やコスト削減には有効ですが、あくまで物流単体の“部分最適”にとどまるため、企業全体の競争力向上や事業成長のドライバーとしては限界があります。

例えば、販路の拡大や新製品の開発などに伴う“全体最適”を考えると、在庫拠点の配置や供給計画、生産と販売のバランス調整など、物流を含む広範な領域の戦略設計が必要になります。つまり、物流部門だけでは対応できないテーマに直面する企業が増えているのです。

サプライチェーン全体を俯瞰する「SCM」への期待

こうした背景から注目されているのが、サプライチェーン全体を統合的にマネジメントする「SCM(Supply Chain Management)」です。SCMとは、物流を含めた調達・製造・販売のすべてを最適化の対象とする考え方であり、在庫回転率の向上やリードタイムの短縮、CO₂削減などの経営課題とも深く関わっています。

3PLでは対応しきれない、複数拠点・複数事業部門にまたがる統合的な意思決定が求められる中、SCMを軸にした戦略立案と運用体制の構築が、製造業をはじめとした企業にとって重要なテーマとなりつつあります。

SCMの次なる一手、「EMS」で製造まで最適化

こうしたSCMの考え方をさらに推し進め、製造工程まで含めて最適化を図るアプローチとして注目されているのが、「EMS(Electronics Manufacturing Services/製造受託サービス)」の活用です。EMSでは、完成品やモジュール品の製造を外注先に委託することで、製造コストの改善や部材調達の最適化を実現します。特に設備や人員を抱えるリスクが高まる昨今の情勢下では、自社の製造拠点を縮小し、外部の製造機能を柔軟に活用するアセットライト化を目指す企業が増加傾向です。さらに、コスト削減によって生まれたリソースを新たな製品開発へ再投資し、EMSパートナーと一緒に価値創出に取り組む動き会も広がっています。

経営の一部としての物流戦略を

物流はもはや「外注すればよい業務」ではなく、経営戦略と一体で考えるべき領域へと変化しています。とくに不安定な世界情勢や価格高騰など、外部環境の不確実性が増すなかで、事業継続やBCP(事業継続計画)にも直結する物流体制を、いかに柔軟かつ強靭に構築していくかが問われています。

そのために、これからの時代は「物流単体の委託」ではなく、経営視点で物流全体を設計・再構築するパートナーの存在が不可欠であると言えるでしょう。

信頼できるSCM・EMSパートナーを選ぶために

物流アウトソーシングだけでは対応しきれない経営課題に向き合うには、より広範な視点でのSCM・EMSが求められます。では、どのような基準でSCM・EMSパートナーを選ぶべきでしょうか。ここでは、信頼できる委託先を見極めるための3つの視点をご紹介します。

1. 現場を理解した人材がいるか

SCM・EMSでは、細かな業務設計から全体の最適化まで、幅広いスキルが求められます。特に物流や調達の業務は、地道な調整業務と迅速な意思決定の両立が必要です。そのため、現場経験に裏打ちされた実行力と、社内外との高い調整能力を併せ持つ人材が、委託先に存在しているかどうかは、非常に重要な選定基準に。担当者の力量次第で、業務の精度も信頼性も大きく左右されるのです。

2. 需要変動に耐えうる体制か

近年は、自然災害やパンデミック、地政学リスクなどにより、想定外の需給変動が日常化しています。こうしたなかでSCM・EMSパートナーに求められるのは、柔軟に在庫や配送体制を調整できる力です。一定の規模感を持ち、独自の物流ネットワークや倉庫機能を備えた企業であれば、委託元の設備投資を抑えつつ、安定した供給体制を維持できます。

3. 単なる「外注先」ではなく、経営の伴走者か

SCM・EMSパートナーには、単なる業務代行以上の役割が期待されます。たとえば、自社のKPIに基づいた運用管理、定期的な改善提案、環境変化への迅速な対応といった機能は、経営戦略と連動してこそ、本来の価値を発揮します。そのためには、単なる契約先ではなく、共に課題を乗り越えていく「伴走者」としての関係性が築けるかどうかがカギになります。

SCM・EMSの委託先を選ぶときには、価格や納期だけでなく、こうした視点で長期的な信頼関係を築けるパートナーを見極めることが重要です。

三井物産プラスチックのSCM・EMSが選ばれる理由

物流だけでなく、調達・在庫・生産・販売までを含む一気通貫のマネジメントを求める声が高まる中、三井物産プラスチックのSCM・EMSが製造業を中心に選ばれています。その理由は、単なる物流代行を超えた「経営貢献型のSCM・EMS支援」にあります。

物流+αの「提案型支援」

三井物産プラスチックのSCM・EMSは、預かった荷物を管理・配送するだけの受動的な役割ではありません。調達先の見直し、需要変動への対応、在庫適正化、生産計画へのフィードバックまで、サプライチェーン全体を最適化する視点から提案を行います。部門ごとの最適にとどまらず、企業全体の利益を見据えた改善を図る点が特長です。

国内外に広がるネットワークと情報力

三井物産グループの強みであるグローバルネットワークを活用し、原料や部品の供給においても複数の調達ルートを確保しています。コロナ禍や地政学的リスクが高まる中でも、代替調達や需給調整といった対応力を発揮。必要に応じて在庫バッファーの確保や輸送手段の切り替えにも柔軟に対応できる体制を整えています。

経営層と伴走するマネジメント力

SCM・EMSの実行には、現場だけでなく経営層との連携が不可欠です。三井物産プラスチックでは、現場レベルの改善提案にとどまらず、経営戦略や中長期の事業計画と連動したSCM・EMS戦略の立案をサポートします。単なるアウトソーシングではなく、戦略パートナーとしての役割を果たせるのは、長年にわたる業界知見と多様な業種への支援実績があるからこそと言えます。

初期投資不要、ゼロからの構築も可能

独自の物流プラットフォームや倉庫ネットワークを有しているため、クライアントが物流基盤を自前で持たなくてもスムーズにSCM・EMSを導入可能です。業種や業態に応じて柔軟にスキームを設計できるため、自社の事業フェーズや課題感に応じたスモールスタートも実現できます。

物流アウトソーシングやSCM・EMSをご検討中の企業様、調達や物流にお悩みのある企業様は、まずはお気軽に三井物産プラスチックまでお問合せください。

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