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picトピックス2026年7月27日

多品種の部品調達に限界を感じたら。製造業のコスト削減・在庫最適化の切り札SCMとは?

多品種の部品調達を抱える製造業では、コスト削減や在庫最適化が長年の経営課題となっています。調達担当者が日々の事務作業に追われ、本来注力すべき開発・生産への投資が後回しになっている企業も少なくありません。そこで注目されているのが、SCM(サプライチェーンマネジメント)の外部委託という選択肢です。

本記事では、なぜ多品種調達が製造業のコスト削減を阻むのか、そしてSCMによってどのように在庫最適化やキャッシュフロー改善が実現できるのかを、三井物産プラスチックのSCM担当者である平 将行(たいらまさゆき)への取材をもとに解説します。

なぜ多品種の部品調達は限界を迎え、製造業のコスト削減を阻むのか?

平将行

膨大な事務工数が現場を圧迫している

ーまず、製造業における調達関連の課題について教えてください。

製造業における部品調達は、想像以上に複雑な業務の積み重ねです。受発注、納期管理、サプライヤーとのトラブル対応、化学物質管理などの法令・環境対応、輸出入管理——これらが毎日発生しているんです。

特に時間を奪われる業務が「納期調整と不良品対応」です。生産ラインが動いている以上、納期の前倒し交渉や欠品対応、不良品の代替手配は待ったなしですよね。電話・メール・システムを駆使した細かい調整業務が、担当者の時間を際限なく削り取っているのが現状なんです。

ー調達担当者は、どれくらいの部品を管理しているのでしょうか。

そうですね、たとえばPC・スマートフォン・家電・車載機器・産業装置などですと、部品点数は数千点〜数万点になることも多いですね。これだけの点数を自社の調達担当者だけで管理しようとするのはかなりの負担だと思います。

需要変動が招く「過剰在庫」というコスト

ー多品種調達においてもう一つ深刻なのが、需要予測のむずかしさと言われていますね。

リードタイムが長い部品ほど、数か月先の需要を見越した発注計画を立てる必要があります。ところが半年後の需要が読み切れず、大量に仕入れた部品が在庫として積み上がってしまうケースはよくあります。ものが入ってきたら需要がなくなる、というのも、実際にはよく起きるんですよ。過剰在庫はキャッシュフローを悪化させるだけでなく、長期保管による品質低下や廃棄ロスにもつながりますしね。

こういった需要予測や在庫管理も含め、とにかく煩雑な業務が多いので、本来は戦略的業務に時間を使うべき人材が日々の事務処理に忙殺されてしまう。これが、製造業のコストダウンを阻む大きな要因の一つだと思います。

多品種調達の課題を解決する「SCM」とは?

多品種調達の課題を解決する「SCM」とは?

受発注から在庫管理・物流まで一括代行

ーそんな煩雑な業務を一括して代行するサービスが、SCMということですね。

その通りです。SCM(サプライチェーンマネジメント)とは、サプライヤーからの部品調達・受発注・在庫管理・物流・代金決済に至る一連のプロセスをまとめて管理・運営する仕組みです。当社では、これらの業務をワンストップで代行する「SCM支援サービス」を20年以上にわたって国内製造業に提供してきました。

リードタイム短縮を実現する生産計画との連動

ー実際にアウトソーシングすることで得られるメリットはどんなものでしょうか?

SCMがもたらす大きな効果のひとつが、リードタイムの短縮です。たとえば当社では、お客様の生産計画情報を共有してもらいながら、適切なタイミングで必要な部品を倉庫会社と連携して納入します。ラインストップを防ぐための細かな調整を、プロフェッショナルが代行するので、最悪の事態を防げるわけですね。自社でそれをすべて行うと、担当者が「何時何分にどこから飛行機が飛んで、いつ着いて工場に入るか」などを数百の部品について管理する必要がある。相当な負担になると思います。

ー部品点数の分だけ、サプライヤーがあるわけですもんね。

そうですね。個別契約・窓口管理は、それだけで相当な工数です。SCMを外部委託することで、顧客企業は複数のサプライヤーアカウントを集約でき、調達・物流のプロセスが大幅にシンプル化されます。それがそのままコスト削減にもつながってくるんです。

SCMで実現する「在庫最適化」とは?なぜコストダウンにつながるのか?

在庫最適化とは

在庫最適化とは、過剰在庫(資金拘束・廃棄ロス)と欠品(ラインストップ・機会損失)という2種類のコストを同時に抑えるための継続的な管理活動です。自社で取り組む場合は需要予測・発注管理・サプライヤー調整を社内で完結させる必要がありますが、これをSCMのプロフェッショナルに外部委託することで、より高い精度と低い負担で実現できるというのが、当社の考え方です。

過剰在庫と欠品、2つのコストを同時に削減

ー調達担当の負担としては、在庫の問題も大きいですよね。

まさにその通りで、在庫に関するコストは、大きく2つありまして、一つは過剰在庫コスト——必要以上に部品を抱えることで生じる資金拘束、保管費用、廃棄損。もう一つは欠品コスト——部品が手に入らないことで生じるラインストップ、生産遅延、機会損失です。「在庫最適化」というのは、この両方のコストを同時に最小化することを目指す取り組みです。当社では、顧客の生産計画データや三井物産グループが持つ市場情報を活用しながら、発注量・在庫量の適正化を継続的に支援しています。

需要予測と連動した動的な在庫管理

ー在庫最適化というのは、具体的にどのように行われているのでしょうか?

在庫最適化の肝は、需要予測の精度を高めることです。当社は、国内外5,000社を超える取引パートナーとのネットワークを通じて、業界動向や原材料の供給動向をリアルタイムで把握しています。この情報を顧客の生産計画と組み合わせることで、単なる経験則に頼らない動的な在庫管理が可能になるというわけです。

ただし、こちらでできるのは在庫の進言までで、もちろん最後はお客様が決定されます。三井物産グループの情報網も見ながら、過多になっていたところをいかに調整できるかが重要なんですね。発注タイミングと発注量の最適化により、デッドストックを削減しながらも欠品リスクを抑えることが、在庫削減手法の核心です。

在庫のオフバランス化という選択肢

それから、在庫最適化においてさらに踏み込んだ手法が、「在庫のオフバランス化」です。これは、当社が在庫を自社資産として保有することで、顧客企業のバランスシートから在庫資産を切り離すという仕組みです。

お客様にとっては、流動在庫が資産として計上されなくなるため、財務体質の改善につながります。大手商社グループとしての与信管理体制と安定した事業基盤によって、このような在庫保有機能を提供できることが、大きな強みです。実際に「数十億円規模の在庫を削減した」という事例も存在します。

キャッシュフローを改善する「三井物産プラスチック」の在庫運用とは?

資産のオフバランス化で財務体質を改善

ー在庫を自社ではなく三井物産プラスチックが代わりに持ってくれるというのは、特に中小企業にとっては助かりますね。

それが理由で、当社を選んでくださる企業様が多いのは確かです。在庫オフバランス化は、製造業の財務改善において非常に大きな効果をもたらします。数億円規模の流動在庫を当社が保有することで、顧客企業は流動比率・自己資本比率といった財務指標の改善を図ることができますから。これは単なる「在庫削減手法」ではなく、経営層にとっての財務戦略そのものです。調達部門だけでなく、CFOや経営企画部門との連携によってSCMを導入する企業が増えているのも、こうした財務インパクトへの期待があるからでしょうね。

機会損失の低減——需要集中期の事前手配

また、需要が集中する時期に備えた事前在庫の確保は、生産停止リスクを回避するために欠かせません。当社は三井物産グループのスケール感を背景に、長期リードタイムが必要な部品についても先行調達、一時保管が可能です。

ーたしかに、調達で足を止めていると、競合他社に追い抜かれてしまうリスクもありますね。

この時代ですからね。需要増局面での機会損失はなんとしても防ぎたいところです。BCP(事業継続計画)の観点からも、複数調達先の確保や在庫の地理的分散をサポートする機能が、近年特にニーズを高めているように感じます。

グローバル対応力——海外工場への部品調達も一元化

ー他にどんな理由でSCMを導入する企業が多いですか?

たとえば海外工場を持つ製造業にとっては、国際的なサプライチェーンの管理はさらに複雑な課題になっていますよね。そのため当社は、三井物産グループの100を超えるグローバル拠点網を活用し、海外サプライヤーからの調達・貿易管理・輸出入対応まで一元的にサポートしています。「三井のネットワークで最適な商流を構築してほしい」というニーズが年々増えている状況です。

製造業がコスト削減を成功させるためのパートナー選びのポイントとは?

製造業がコスト削減を成功させるためのパートナー選びのポイントとは?

ー実際にSCM支援を外部委託する場合、どんな基準で選べばよいでしょうか。

大きく分けて3つのポイントがありますので、それぞれ解説します。

①素材・原料まで遡る専門知識を持っているか

SCMの外部委託先に求めたいのは、受発注の代行だけでなく、上流工程、つまり素材の選定・試作・評価まで踏み込んだ知見を持つパートナー(※三井物産プラスチックの取引先のメーカー・サプライヤーとの連携)です。表面的な「調達の窓口」に過ぎない委託先では、コスト削減の提案も納期トラブルへの対応も、どうしても後手に回りがちになります。選定の際は、そういった専門知識の有無を確認するとよいでしょう。

②人員増なしでコスト削減を実現した実績があるか

SCM支援によるコスト削減効果は、物流費と人件費に現れることが多く、うまくいけば人員を増やすことなく年間数千万円規模の固定費削減につながるケースもあります。

③独自の管理システムと実行力を持っているか

SCMの現場では、需要予測・在庫管理・納期調整を日々高精度で回し続けることが求められます。そのためには、経験とノウハウに裏打ちされた独自の管理システムや、倉庫会社・物流会社との連携体制が整っているかどうかが重要です。単なる価格交渉ではなく、仕組みそのものを変えられるかどうかが、真のコストダウンを生み出せるパートナーかどうかの分かれ目になります。

多品種調達のプロフェッショナル「三井物産プラスチック」とは?実績とともに紹介

ーここまでSCMのアウトソーシングについて詳しく伺ってきましたが、改めて三井物産プラスチックのSCMサービスについて教えてください。

ここまで紹介してきたSCMの仕組みや在庫最適化の手法は、すべて三井物産プラスチックが20年以上の支援実績の中で培ってきたものです。三井物産株式会社が100%出資する化学品専門商社として、国内外5,000社を超える取引パートナーと100を超えるグローバル拠点ネットワークを持ち、製造業の調達・購買課題にワンストップで対応しています。

当社の強みは、汎用樹脂から電子材料・半導体材料・産業資材まで幅広く手がける素材知識の深さと、三井物産グループの総合力を組み合わせた支援体制にあります。一時在庫の保有や先行調達など、地場商社では対応が難しい規模のサポートも可能で、海外調達・貿易管理・輸出入対応まで含めたグローバルなサプライチェーン構築にも対応しています。

こうした体制を背景に、人員を増やすことなく年間数千万円規模のコスト削減(主に物流費・人件費)や、数十億円規模の在庫オフバランス化を実現した支援実績を持っています。

一例として、お客様のSCM導入実績を簡単にご紹介します。

<当社のSCM導入実績>

①A社(製造業)の例
【課題】

多品種の部品を取り扱うA社では、受発注管理や納期調整、物流手配、サプライヤー対応などの業務が増加し、調達部門の負荷が高まっていました。担当者は日々の運用業務に多くの時間を割かれ、本来注力すべきサプライヤー評価や新規調達先の開拓といった戦略的な業務に十分な時間を確保できない状況でした。

【ソリューション】

当社のSCM支援サービスを導入し、受発注管理から在庫管理、物流手配までを一元的に運用。複数のサプライヤーや物流会社との調整業務を集約し、調達業務全体の効率化を図りました。

【成果】

物流費や人件費を中心に、調達関連コストを年間約2,800万円削減。全体では約30%のコスト削減効果を実現しました。また、人員を増やすことなく安定した調達体制を構築し、担当者はサプライヤー評価や新規開拓など、企業競争力の向上につながる業務へより多くの時間を充てられるようになりました。

②B社(製造業)の例
【課題】

海外との取引を含む複雑なサプライチェーンを抱えるB社では、輸出入業務や在庫管理に多くの工数が発生していました。また、部品の欠品による生産への影響を避けるため在庫を多めに保有しており、在庫資産の増加が経営上の課題となっていました。

【ソリューション】

当社が調達・物流・在庫管理を一体的に支援。需要予測や生産計画に基づく在庫最適化を進めるとともに、在庫のオフバランス化も活用しながら、効率的な運用体制を構築しました。

【成果】

輸出入関連業務の作業時間を約50%削減し、運用体制の効率化を実現。さらに、顧客企業のバランスシート上の在庫資産を約5億円圧縮し、流動比率の改善にも貢献しました。欠品によるラインストップを発生させることなく、必要な部品を必要なタイミングで供給できる体制を維持しながら、財務面と業務面の双方で大きな改善効果を生み出しています。

ご紹介した2つの事例は、当社が支援してきた数多くのプロジェクトのほんの一例です。お客様が抱える課題は、業界や製品、事業規模によってさまざまであり、最適な解決策も一つではありません。

当社は20年以上にわたり、多品種調達や在庫管理、物流最適化など、製造業のサプライチェーンに関する課題解決を支援してきました。豊富な経験とノウハウを生かし、お客様ごとの状況に合わせた最適なSCMの仕組みをご提案します。

御社のコスト削減額を試算します。まずはご相談を。

「うちの場合、SCMを導入するとどのくらいの効果が出るのか?」——そのご質問に、三井物産プラスチックは具体的な数字でお答えします。

まずは御社の調達・在庫の現状をお聞かせください。担当者が丁寧にヒアリングし、コスト削減の可能性を一緒に試算いたします。

PROFILE
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平 将行(たいら まさゆき)
三井物産プラスチック株式会社
営業第3部門先端・情報電子ソリューション事業部 SCM事業グループ グループリーダー
2007年に三井物産フロンティア株式会社(松本支店)入社。入社以来、一貫してSCM業務及び調達代行業務全般に従事、2014年三井物産フロンティア株式会社と当社が合併。2014年より本店の勤務を経て、現職。 現在は、SCM事業グループをリーダーとして牽引。

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