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pic業界を知る2022年10月3日

「プラスチック資源循環促進法」を分かりやすく解説!-【後編】

2020年7月にレジ袋が有料化されるなど、日本においてもプラスチック資源循環への取り組みが広がり、人々の関心を集めています。このような動きは「プラスチック資源循環戦略」に基づいて進められている措置の一つです。同戦略に基づき、2022年4月、「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。プラスチック資源循環促進法とは何か、そして私たちに求められる対応について解説します。

プラスチック資源循環促進法による社会やサービスの変化

サービス提供事業者と消費者の双方に求められる行動変容

プラスチック資源循環促進法の施行によって、社会やサービスが様々に変化しています。近年最も話題となったのは、プラスチック資源循環促進法の土台となったプラスチック資源循環戦略に基づいて実施された2020年7月のレジ袋有料化です。 日本では、年間約300億枚のレジ袋が消費されているといわれています。この使用量を削減し、エコバックや他の手段への変換を促す目的で、レジ袋を有料化しました。2022年4月からは、プラスチック資源循環促進法の施行により、コンビニやスーパーで配布されていたフォークやスプーンといったプラスチック製カトラリーが有料化されたり、廃止されたりしています。 さらにホテルなどの宿泊施設では、これまで部屋に備え付けられていたヘアブラシやシャワーキャップ、歯ブラシなどを、必要な人だけがフロントで購入するような仕組みが導入されるなどの変化もありました。これもまた、従来では当たり前に使い捨てられていたプラスチック製品の使用量を減らすための取り組みです。他にも、クリーニング店では衣類用ハンガーのリサイクル促進などが進められています。 このようなサービスの変化は、サービス提供者だけでなく消費者側にも、洗って再利用のできるマイ箸やマイストローを持ち歩いたり、旅行に行ったりするときには自前のヘアブラシや歯ブラシを持って行くといった行動の変容を求めるものとなっています。

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バイオプラスチック普及のロードマップ

「バイオプラスチック」の導入が推進されるが、国内供給量は不足

3R+ Renewable 実現のため、これまではプラスチックが使われていた製品の材料を変更するという部分でも触れたとおり、バイオプラスチックの導入も、プラスチック資源循環促進法によって進められている対策の一つです。 2022年現在、日本におけるバイオマスプラスチックの使用量はおよそ4~5万トンですが、バイオプラスチック導入のロードマップでは、2030年までにこれを約200万トンまで増やすことが掲げられています。 とはいえ2022年現在は、バイオプラスチック材料の国内供給量が圧倒的に不足している状態です。そのため、バイオプラスチック導入を計画する企業や団体に向け、導入方針の提示や、目的に適した種類のバイオプラスチックの提案、さらにバイオプラスチックをより利用しやすくするための施策を行っていくこともロードマップに盛り込まれています。 例えばバイオマスプラスチックの導入にあたっては、原料や供給業者、コスト、環境や社会的側面を考慮しなければなりません。バイオマスプラスチックの原材料には食物や廃食物油、木材のセルロースなどが使用されます。これらの材料の中には、サトウキビやトウモロコシのように食料や飼料としても使用されるものもあるため、そういった分野と材料の奪い合いにならないよう、配慮が必要です。 さらにバイオマスプラスチック材料の使用を訴求する製品などは、企業や商店などの環境配慮のアピールになるだけでなく、バイオプラスチック導入の促進にもつながります。

目的に合わせた「バイオプラスチック」を選ぶことが必要

バイオプラスチックにはさまざまな種類があるため、目的に合わせた使用が求められます。例えばプラスチックコンテナのような容器の場合、海洋や土壌での生分解性はあまり求められないものの、リサイクルしやすい素材であることが求められます。 一方で農業用のフィルムなどは、用途によってはリサイクルに回される製品もあるものの、肥料の被覆材のような製品の場合は、土に混ざってしまう分量も多いことなどから、高い土壌生分解性が求められます。 用途に応じて適切にバイオプラスチックを選択することは、バイオプラスチック普及の後押しになるでしょう。さらに、より高機能で低コストのバイオプラスチックの開発や製造設備導入への支援、海洋分解性の評価手法の国際標準化などの施策も順次進められています。

まとめ:「プラスチック資源循環促進法」により求められる対応

プラスチック資源循環促進法の施行により、プラスチック製カトラリーやアメニティが有料化、廃止される等、社会やサービスの変化が起こっています。 一方、プラスチック製品は日々の生活に欠かせないものであり、すべてのプラスチックの使用を廃止することは不可能です。持続可能な未来の実現に向け、石油資源の使用やCO2の排出を抑えられるバイオプラスチックの活用等、企業と消費者の行動が重要になっています。バイオプラスチックはさまざまな種類があり、用途に応じて適切な選択をすることが、バイオプラスチック普及のために重要です。

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