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pic素材を知る2024年12月4日

土木業界で存在感を増すシリコーンシーリング材。今後の成長戦略とは

初秋とは思えぬ暑さが残る9月下旬、東京ビッグサイトにて「ハイウェイテクノフェア2024」が開催されました。この展示会は、高速道路の建設・管理技術の普及や活用促進を目的としたイベント。昨年に続いての出展となるダウ・東レのブースには、多くの高速道路関係者が集い、展示やデモンストレーションに見入っていました。今回の取材では、土木業界におけるシリコーンシーリング材の今後の成長戦略について、関係者の皆さんにお話をうかがいました。

補修で課題を感じている方は、想像よりもはるかに多い

 

はじめに、昨年の取材ではシリコーンシーリング材の「認知拡大が目標」と語っていたダウ・東レの伊藤さんに、この1年でどのような変化があったかを聞いてみました。

伊藤:おかげさまで、徐々に成果が見えてきています。昨年のイベントで名刺交換させていただいたお客様には、フォローアップという形で商談を継続させていただいていますし、ウェブサイトを通じての問い合わせも増えてきています。

厳格な規定のあるインフラ・土木業界において、新素材であるシリコーンの魅力を伝える場は限られています。そんな中、リアルな展示会に継続出展しながら、さらにはウェブを介しての訴求も活発に行っているとのこと。2回目となる今回は、昨年とどんな違いがあるのかを聞いてみました。

伊藤:昨年より、わかりやすく伝えることを目指しています。土木用シリコーンシーリング材のラインナップとして、1成分形と2成分形があることを紹介していますし、またユニークな製品として伸縮装置用のシリコーンシーリング材も紹介しています。あとは、事例画像の掲載も昨年に比べて豊富です。シリコーンシーリング材で補修した場合と、モルタルで補修した場合、工事から1年後どうなっているかの比較画像などですね。地盤変化の影響でモルタルの方はヒビが入っていますが、シリコーンシーリング材は追従して止水ができています。シリコーンの特長がわかりやすい事例画像だと思っています。

-1年間の取り組みで、高速道路向けの製品に反響が高まっているとうかがいました。

伊藤:はい。高速道路伸縮装置向けのDOWSIL™ 902 RCS Joint Sealantは1,500%以上の伸縮性が特長でして、視覚的にも目を引く製品です。今回の展示会でもサンプルを置いていますが、立ち止まって見てくださるお客様も多いですね。高速道路の伸縮装置はアプリケーションも限定されているので、伸縮装置に関心の高いユーザーさんの目は引きやすいと思います。ウェブサイトを介しての問い合わせも多く、伸縮装置の補修に課題を持たれている方は我々の想像よりも遥かに多い印象ですね。1成分形のSE980Aに関しては、国交省のNETIS(新技術情報提供システム)への登録が完了しました。農業用水路を含む一般の土木工事、ひび割れ補修工事などにも使える製品として、品質規格(農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル)にも適合していることを確認しています。農業用水路のみならず、橋梁工事や鉄道の高架工事など、用途を限定することなく広く土木工事にお使いいただけると思います。

水漏れ補修にうってつけのシリコーンシーリング材

ハイウェイテクノフェアには、当然ながら高速道路工事関係者が多く訪れる。高速道路伸縮装置向け製品DOWSIL™ 902 RCS Joint Sealantに興味を持つお客様は、一体どんな悩みを持っているのでしょうか?接客を担当していたダウ・東レの阪下さんに話を聞きました。

阪下:完成から数十年が経過した高速道路は全国に存在します。実際、伸縮装置は目地の部分がボロボロになっていたりもして、業界内ではどのようにメンテナンスを行うべきか広く検討されています。どの部分を替えるか?どんな方法がよいのか?新しいアイデアを求めて今回のイベントを訪れる関係者が多かったように思います。

– 関係者の皆さんが懸念されていること、起こりうる不具合とはどんなことなのでしょうか?

阪下:伸縮装置のジョイント部には、止水も兼ねてゴム素材を使うことが多いです。しかしゴムは耐用年数が短いので、当然ながら劣化して水漏れする。漏水は腐食の原因となり、伸縮装置そのものの寿命に影響してきます。そこで私たちダウ・東レとしては、ゴムを取り除いてシリコーンシーリング材を打ってみては?という提案を行っています。

– 目地部分だけの交換というのは一般的なものなのでしょうか?

阪下:道路の痛み具合によって、伸縮装置を丸ごと替えるのか、目地部分だけ替えるのか、そこは予算の都合もありますし、判断はさまざまだと思います。ただ一つ確かなのは、シリコーンシーリング材は耐候性が抜群にいいということ。だから「1回これ(DOWSIL™ 902 RCS Joint Sealant)を使っていただければ交換サイクルを減らせますよ」と伝えるようにしています。
以前の記事でも紹介しましたが、米国のビル建築において、シリコーンシーリング材は50年経過してもノーメンテナンスという実績があります。補修回数・交換回数が少なくなることは明らかで、これは国をあげて取り組むライフサイクルコスト削減につながることに。阪下さんいわく、訪問者からは「(補修工事に)お金をかけたくない」という声も多く聞かれ、コスト抑制への逼迫感が高まっているとのこと。目地交換だけで対応できるシリコーンシーリング材は、まさに水漏れ補修にうってつけの材料と言えるでしょう。

シリコーン=変成シリコーンの勘違いを正すのも私たちの役目

今後、土木工事全般におけるシリコーンシーリング材の素晴らしさを伝えていくために、そして成長戦略をより明確なものにしていくために、どんな取り組みが必要なのでしょうか?総合代理店である三井物産プラスチック 片寄さん、そして再びダウ・東レの伊藤さんに話を聞きました。

片寄:高速道路、農業用水路に限らず、この1年で土木業界におけるシリコーンシーリング材の認知は大きく広がりました。目に見える成果もあがっています。あとは、どのように拡大していくか?というところ。シリコーンシーリング材の耐候性の高さは間違いないですし、伸縮装置向けなどユニークな製品もある。建材商さんやウェブの力も借りて、シリコーンシーリング材の素晴らしさをより多くの人に伝えていきたいですね。

伊藤:昨年もお伝えしましたが、お客様の中には「シリコーンシーリング材は知っている。でも5年でヒビ割れしますよね」と、明らかに変成シリコーンと勘違いされている方がいらっしゃいます。例えば、ウレタンとは名称自体が異なるのでわかりやすいのですが、シリコーン=変成シリコーンであると理解されているケースが多いです。しかしその点は私たちの努力が足りていないことも確か。シリコーンシーリング材の魅力をじっくり、時間をかけて伝えていく必要があると思っています。

®™:ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーまたはその関連会社の商標
DOW TORAYの商標のTORAYの部分は、使用許諾のもとで使用している東レ株式会社の商標です。

PROFILE
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伊藤 秀樹さん
ダウ・東レ株式会社
マーケティング部 マーケティングマネジャー(北アジアエリア担当)。2022年中途入社。
前職では、大手化学メーカーにて、主に建設市場や工業用製品市場を中心に、営業やマーケティングに従事。最大手EC企業での経験を経てダウ・東レに入社。
現在、事業開発とマーケティングを兼務しながら、同社シリコーンシーリング材の事業拡大に尽力中。

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阪下 智之さん
ダウ・東レ株式会社
シ―ラント部 部長。1992年入社。自動車・OA・家電向けシリコーンゴムビジネスに従事、2007年から建築・土木向けシリコーンシーラントビジネスに携わり、シリコーンシーリング材の事業拡大に尽力中。

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片寄 一郎
三井物産プラスチック株式会社
2019年に三井物産プラスチック株式会社入社
前職は大手化学メーカに勤務し主に建築土木用のシーリング販売に携わる。
現在、土木インフラ市場の調査ならびに商材拡販を展開中。

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