素材を知る2024年6月19日
ライフサイクルコスト低減をかなえる
シリコーンシーリング材という選択(後編)
2023年秋、東京国際展示場(東京ビッグサイト)西3・4ホールにて開催された、高速道路事業や高速道路を支える最先端技術の展示会「ハイウェイテクノフェア2023」。この展示会に、素材・化学品メーカーであるダウ・東レ株式会社(以下、ダウ・東レ)の総合代理店として三井物産プラスチックがダウ・東レと一緒にブースを出展。展示会の来場者である土木・メンテンナス業界の方々に向け、インフラ長寿命化の鍵となるシリコーンシーリング材のPR活動を行いました。シリコーンシーリング材の特徴・土木業界での認知度について紹介した前編に続き、本記事・後編ではイベント出展の目的について話を聞きました。
ハイウェイテクノフェア出展の狙い
高速道路の建設・管理技術に焦点をあてた展示会として、2004年にはじめて開催されたハイウェイテクノフェア。19回目となる2023年はコロナ禍開けともあり280以上の出展、18,197名を集客しました。展示会来場者は高速道路の建設や保全に携わる関係者が中心で、新しい技術や素材をアピールするには絶好の機会と言えます。前編にも登場いただいたダウ・東レの伊藤さんに、あらためてハイウェイテクノフェア出展の狙いを聞きました。
「コロナ禍で思うように認知訴求できませんでしたが、今回ようやくインフラ土木業界で最も影響力のあるイベントのひとつ『ハイウェイテクノフェア』に出展し、シリコーン技術を伝える機会が持てました。まずはインフラ土木業界において施主となる皆さん、設計に携わる方々に直接お会いして伝えることが重要と考えています。まずはここを普及への足がかかりにしたいです」
インフラ設備のライフサイクルコスト低減に貢献
シリコーンシーリング材は高性能だが、価格も高い。そんな印象をもつ土木関係者が多く、普及を妨げてきた要因となっています。
「コスト面で考えると、シリコーンは他の素材よりも若干価格が高めです。プロジェクトの初期建設費に与える影響は少なからずあるかもしれません。土木関係は公共工事が多いので、どうしても予算オーバーだけは避けたい。その点も、シリコーンが普及してこなかった理由のひとつだと思います。しかし、今はインフラの老朽化に伴い、長寿命化を最優先で考えないといけない。予算組みの段階から、40年のトータルコストで考える必要があります。確かにシリコーン素材だと初期コストは高いかもしれませんが、その代わりに5〜10年おきにやっていた改修工事は少なくなる。つまりトータル40年のライフサイクルコストが低減できるということ。実際、そういった理由でシリコーンを採用いただけるケースは増えています」
加えて伊藤さんは「メンテフリーを時代が求めている」とも語ってくれました。実際のところ、改修工事が少なくなることが、すべての土木関係者にとって良いこととは言い切れません。しかし時代は大きく変わりました。コスト削減とインフラ長寿命化は、現代社会において重要な課題です。誰もが解決策を示し、資源の節約や環境保護に貢献する必要があります。企業や個人が積極的に取り組むことで、持続可能な社会の実現に向けた一歩となるからです。その選択肢のひとつとして、土木用シリコーンシーリング材は大いに活用できるはず。選択肢の多さが違いを生んでくれる、そんな時代が訪れているのです。
総販売代理店として丁寧かつ細やかなサポートに尽力
今後シリコーンシーリング材の普及を推進するためには、土木業界に向けた適切な販売チャネル確立が課題となってきます。販売戦略について、総販売元である三井物産プラスチックの小山さんに話を聞きました。
「現状では土木業界での認知が低いので、まずはエンドユーザー様へのアプローチを重点的に行っています。国内での土木業界での実績がまだ多くないという指摘も多いわけですが、使ってもらわないと実績にならないですからね。丁寧かつ細やかなサポートができるよう、現場を見に行って施工方法などもサポートさせていただいてます。また在庫管理も三井物産プラスチックの大きな役割です。翌日出荷で、沖縄から北海道まで2-3日後の到着。現場ではすぐにでも使いたいはずですから、可能な限り早く届けられるよう努力しています。
前後編にわたって、ハイウェイテクノフェア出展レポートをお伝えしてきました。多くの方にシリコーンシーリング材の可能性の高さを知ってもらい、利用が広がることで、より効果的なインフラ保全が実現されることを期待したいと思います。
伊藤 秀樹 様
ダウ・東レ株式会社
マーケティング部 マーケティングマネジャー(北アジアエリア担当)。2022年中途入社。
前職では、大手化学メーカーにて、主に建設市場や工業用製品市場を中心に、営業やマーケティングに従事。最大手EC企業での経験を経てダウ・東レに入社。
現在、事業開発とマーケティングを兼務しながら、同社シリコーンシーリング材の事業拡大に尽力中。
小山 司
三井物産プラスチック株式会社
営業第4部門 国内ネットワーク推進事業部 産業インフラ材料グループ
建設市場、土木・インフラ市場へのシリコーンシーリング材販売に従事。
インフラ市場向けシリコーン提案の中心として取り組み中。