素材を知る2026年8月24日
造粒とは?仕組み・造粒機の種類・委託するメリットを解説【業者選びのポイント】

粉体を扱う製造現場では、「細かい粉が舞って作業しにくい」「成分がうまく混ざらない」「装置の中で詰まってしまう」といったトラブルが起こりがちです。こうした悩みは、原料を粒状に加工する「造粒」によって改善できるケースが少なくありません。
この記事では、造粒の基本的な考え方から、主な加工方法の種類と特徴、自社で対応するか外注するかの判断ポイント、さらに委託先選びのコツなどについて、粉体加工のエキスパートである日東化成工業株式会社の鮫島さん・佐伯さん・川島さんが解説します。
造粒加工とは?わかりやすく解説

造粒の定義
造粒とは、粉や液体などの原料を、形や大きさがそろった「つぶ」に加工することです。
「たとえば、サラサラの粉やドロッとした材料を、扱いやすい粒状にまとめるイメージです」と語るのは、長く粉体加工に携わる佐伯さん。
「粒の大きさには目安があり、100マイクロメートル以下は『粉』、数ミリ以上は『塊』、その中間が『粒』と呼ばれます。造粒は、この中間の『粒』をつくるための技術」だといいます。
そうしてできあがった粒は、製法や使われる分野によって、ペレットや顆粒、マイクロカプセルなど、さまざまな名前で呼ばれるようになります。
造粒と粉砕・混合との違い
粉体加工には造粒以外にも、粉砕・混合・分級・コーティングなどの工程があります。
川島さんによると、一般的に粉体加工は次のような工程に分けられるそうです。
| 工程 | 内容 | 造粒との関係 |
|---|---|---|
| 粉砕 | 固形物を細かく砕き、粒の大きさを小さくする工程 | 原料の粒度をそろえるため、造粒の前に行われることが多い |
| 混合 | 複数の粉体を均一に混ぜ合わせる工程 | 成分のばらつきを防ぐため、造粒の前後で組み合わせて使われる |
| 造粒 | 粉末を、顆粒やペレットといった粒状に加工する工程 | 扱いやすさや品質の安定性を高める中心的なプロセス |
| 分級 | 粒の大きさごとに選り分け、粒度を均一に整える工程 | 造粒後の仕上げとして行われることが多い |
| コーティング | 粒の表面を別の物質で覆う工程 | 耐久性の向上や機能の付与など、用途に応じた特性を持たせるために、造粒後に実施 |
このように、造粒は複数ある工程の中でも中心的な役割を担っており、前後の工程と組み合わせることで品質が大きく左右されます。
では、こうした造粒によって具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
造粒加工の目的と6つのメリット
川島さんによると、「造粒には、製造現場の課題を解決するさまざまなメリットがある」とのこと。日東化成工業には粉体にまつわる多種多様な相談が舞い込むそうですが、大まかにまとめると次のようなメリットがあるそうです。
メリット1:流れやすくなる(流動性の向上)
粒は粉末よりもスムーズに流れるため、自動計量機や充填機、包装機などの設備で扱いやすくなります。製造ラインの自動化や省人化を進めるうえで、重要なポイントです。
メリット2:粉が舞いにくくなる(発塵の防止)
細かい粉は空気中に舞いやすく、作業環境の悪化や異物混入の原因になります。粒状にすることで飛散が抑えられ、安全でクリーンな環境を保ちやすくなります。
メリット3:成分のばらつきを防ぐ(偏析の防止)
異なる粉体を混ぜると、時間とともに分離してしまうことがあります。造粒によって複数の成分を一つの粒にまとめることで、成分の偏りを防ぎ、品質の安定につながります。
メリット4:付着や詰まりを防ぐ
微粉は装置に付着したり、配管内で詰まったりしやすい性質があります。粒にすることで流れが安定し、こうしたトラブルを大きく減らせます。
メリット5:溶けやすく、広がりやすい(溶解性・分散性の向上)
顆粒は粉のように細かく広がりつつ、ダマになりにくいのが特長です。水に溶けやすく、均一に分散しやすいため、製品の使い勝手や品質向上につながります。
メリット6:見た目が整い、商品価値が高まる
粒の大きさがそろうことで外観が美しくなり、製品としての印象も向上します。食品や化粧品原料など、見た目が重視される分野では特に重要です。
粉体加工のエキスパートに学ぶ「粉にまつわるビジネス課題と粉体加工の基礎知識」
造粒機とは?主な3つの種類と仕組みを解説
このように、造粒は作業性・品質・安全性など、多方面にメリットをもたらしますが、こうした効果を得るためには、どのような造粒方法を選べばよいのでしょうか。
川島さんから代表的な3つの造粒機「押出造粒」「攪拌造粒」「溶融(乾式)造粒」を紹介いただきました。
①押出造粒

湿らせた粉体をスクリューやロールで加圧し、スクリーン(多孔板)から押し出して粒を成形する方法です。結合剤で練り上げた原料を通すことで、棒状や円柱状など形のそろった顆粒が得られます。粒径が均一で密度が高く、形状のコントロールがしやすいのが特長で、医薬品の錠剤原料や飼料、肥料、食品などに広く用いられています。
一方で、湿潤と乾燥の工程が必要になりますが、比較的熱に弱い原料にも対応しやすい方法です。
②攪拌造粒
容器内でパドルやインペラを高速回転させ、粉体同士を衝突・圧縮させながらバインダーを加えて粒を成長させる方法です。せん断力と圧縮力によって粒子が結びつき、短時間で効率よく造粒できるのが特長です。バッチ処理に適しており、嵩密度の高い顆粒が得られるため、医薬品や洗剤、化学品の分野で多く利用されています。
ただし、粒が大きくなりすぎる「過造粒」が起こりやすいため、仕上がりのタイミングを見極める管理が重要になります。
③溶融(乾式)造粒

バインダーや添加剤を加熱して溶かし、冷却して固めることで粒を形成する方法です。ワックスや脂質などの低融点材料を利用して粉体同士を結びつけるため、水や溶媒を使わずに造粒でき、乾燥工程も不要です。この特長から、水分に弱い原料にも適しており、医薬品や徐放性製剤、化粧品などに活用されています。
ただし、熱に弱い素材には不向きであり、バインダーの選定や温度管理が品質に大きく影響します。
なお、加熱・加圧によって粉体を固める「造粒固化」も乾式造粒の一種です。溶媒を使わずに粒を形成できるという点では溶融造粒と共通しており、水分や溶剤との接触を避けたい原料に対して有効な手法として知られています。
川島さんは「それぞれに得意とする条件や仕上がりの特徴があり、原料の性質や求める品質、コストに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。適切な手法を選ぶことで、製造の安定化や品質向上につながります」と説きます。

このように、造粒方法ごとに適した用途や条件が異なるため「自社で最適な条件を見極めるには一定の知見と設備が求められます。そのため、日東化成工業のような専門業者への委託を検討するケースも少なくない」とも語ってくれました。
造粒加工を外注すべきケースとは?
製造現場で課題がある場合、なんとか自社で解決したいと考えるケースも多いようですが、佐伯さんが見てきたなかで、次のようなシグナルがある場合は、専門業者へ委託するのをおすすめしているそうです。
シグナル1:設備投資・維持費が経営負担になっている
造粒設備は、小型でも数百万円〜数千万円と高額です。さらに、メンテナンス費用やオペレーターの人件費もかかります。少量・多品種の加工では、コストに見合わないケースも少なくありません。
シグナル2:生産量が少なく設備稼働率が低い
試作や小ロット、季節変動の大きい製品では、設備の稼働率が低くなりがちです。その結果、固定費の負担が重くなります。外注であれば、加工した分だけ費用が発生するため、無駄を抑えられます。
シグナル3:粉体加工の専門人材がいない・育てられない
造粒加工は、粒径や密度、流動性、吸湿性など、素材に応じた細かな調整が必要です。専門知識がないと試行錯誤が増え、時間もコストもかかります。結果として、外注のほうが効率的になることもあります。
シグナル4:異業種・新素材の加工ニーズが発生している
化学品、セラミック、特殊樹脂など、これまで扱っていない素材の加工が必要になるケースもあります。 こうした場合は、実績のある受託加工業者に相談することで、スムーズに対応できる可能性が高まります。
「自社でやるか外注するか」の判断に迷ったら、まずは受託加工業者に相談することをおすすめしたいと語る川島さん。技術者と直接対話することで、自社では気づけなかった解決策が見つかることも多くあるそうです。
造粒受託加工の委託先を選ぶ3つのポイント
では、実際に外注する場合、どのような基準で委託先を選べばよいのでしょうか。
佐伯さんによると、受託加工業者の品質・対応力は千差万別なので、ミスマッチを防ぐために、次のポイントを必ず確認してほしいとのことです。
ポイント1:対応できる工程の広さ(まとめて任せられるか)
造粒加工の前後には、粉砕・混合・分級・コーティングなど、複数の工程が必要になるのが一般的です。これらをまとめて依頼できる業者を選ぶと、工程ごとのやり取りが減り、品質管理やコスト、スケジュールの面で効率よく進められます。
ポイント2:技術者に直接相談できる体制があるか
粉体加工は、素材の性質によって最適な方法が大きく変わります。 そのため、「すぐに価格だけ提示する業者」よりも、「技術者が直接話を聞き、できること・難しいことを説明してくれる業者」を選ぶほうが安心です。結果として、トラブルが少なく、コスト面でも無駄を抑えやすくなります。
ポイント3:自社の業界や素材での実績があるか
造粒加工は、扱う分野によって求められる条件が異なります。たとえば、化学品、樹脂、セラミック、金属、食品、医薬品などでは、設備の仕様や洗浄基準、異物管理の考え方も変わります。 自社と同じ業界・素材での実績がある業者を選べば、試作や条件調整もスムーズに進めやすくなります。

なお、三井物産プラスチックでは、粉体加工のエキスパートである日東化成工業株式会社のご紹介・お問い合わせ窓口対応を行っています。押出造粒・撹拌造粒・溶融造粒をはじめ、粉砕・混合・表面処理・含浸・分級まで全工程に対応しており、化学品など幅広い業界での受託加工実績があります。
まとめ
ここまで造粒加工の基礎から委託先の選び方まで解説してきました。造粒加工は、粉体を粒状にすることで流動性や品質を高め、製造現場の課題改善につながる重要な技術です。手法ごとに特長が異なるため、原料や目的に応じた最適な選択が欠かせません。
「最初の方法選びが、品質やコストに大きく影響します」と鮫島さんは話します。
また、外注する場合は、「相談 → 試作 → 量産」の流れで段階的に進めるのが一般的で、小ロット試作によって条件を見極めることが安定生産の鍵となります。粉塵の飛散や詰まり、付着といった現場課題も、造粒によって改善できる可能性があります。
また鮫島さんは「弊社では試作のみのご相談にも対応しており、1kg程度の小ロットからでもお受けしています」とも。まずは小さく試すことも有効とのこと。まずは自社対応か外注かを含め、最適な進め方を見極めることが、安定したものづくりにつながります。

粉体加工の外注・受託加工についてお悩みの方は、ぜひ三井物産プラスチックにご相談ください。

鮫島 政昭さん
日東化成工業株式会社 専務取締役
2024年に日東化成工業 (株)に入社し、営業管掌役員となる。前職となる新日本理化(株)において長年に渡り油脂や可塑剤事業の営業に従事。この知識と人脈を生かし新たなる事業展開を推進している。

佐伯 昌彦さん
日東化成工業株式会社 営業部 部長
1996年 日東化成工業 (株)に入社し、製造部、技術部を経て2000年に現部署へ異動。
コア事業である金属石鹸、塩ビ安定剤、粉体加工の技術営業を長年担当。2024年12月より営業部長に就任、現職。既存事業の拡大に加え、新規事業の模索や展開を積極的に推進している。

川島 悠嗣さん
日東化成工業株式会社 技術部 部長
2003年日東化成工業(株)に入社。入社から現在に至るまで技術部に所属し、製品開発・製造技術・技術営業などの業務に従事。2024年12月より技術部長に就任、現職。副品質管理責任者も兼任し、品質向上への社内改善活動を積極的に推進している。





