素材を知る2025年12月22日
脱溶剤化のその先へ。ダウ・東レが語るシリコーン剥離剤の環境対応とグローバル知見

2025年11月、幕張メッセで開催された「第14回 高機能プラスチック展(高機能素材Week内)」。ダウ・東レ株式会社は、シリコーン剥離剤・粘着剤をはじめとした最新のシリコーン技術を出展しました。ブースには3日間を通じて多くの来場者が訪れ、特に環境配慮型の水系エマルションや低温硬化品への関心が想像以上に高かったといいます。本記事では、ダウのボー・パークさん・鍋島さん、そして販売パートナーである三井物産プラスチック株式会社・担当営業へのインタビューをもとに、展示会で見えた手応えと、日本市場における今後の展望をお届けします。
環境配慮型シリコーンへの関心が想像以上に高い

── 今回の会場の雰囲気や、ブースへの来場状況はいかがでしたか。
ダウ 鍋島さん(以降、敬称略):3日間を通して、予想以上にお客さまがいらっしゃいました。特に印象的だったのは、環境配慮型の製品に関する問い合わせが多かったことです。従来の溶剤系だけでなく、「水系はありますか?」「低温で硬化するグレードは?」といった、環境負荷やエネルギー削減に直結する質問が目立ちましたね。
本江(三井物産プラスチック):今年は「生分解性」や「循環型」をキーワードに掲げたブースが多く、フィルムでもセルロースを用いたものなど、石油系以外の素材へのシフトが目立ちました。そうした中で、シリコーン剥離剤・粘着剤も、単なる“機能材料”ではなく、「環境負荷をどう下げるか」という観点で見られていると感じましたね。
── 今回は久しぶりの出展だったと伺いました。反響はいかがでしたか。
鍋島:2018年に出展して以来となります。その当時は今回の環境配慮型の剥離剤を展示していなかったので、正直どこまで反応があるか読めない部分もありました。ただ、蓋を開けてみると、想像以上に環境配慮型製品への反響が大きかった。サステナビリティへの関心が、一過性のトレンドではなく、実際の材料選定の基準として根付いてきていると感じました。
── 来場されたお客さまは、どのような業種・立場の方が多かったのでしょうか。
本江:シール材やテープ、フィルムを扱うコンバーターに加え、フィルムメーカーや樹脂メーカーなど、川上から川下まで幅広いプレーヤーの方がブースを訪れてくださいました。なかには、すでにダウのシリコーンをお使いいただいているお客さまもいらっしゃって、既存用途の改善相談と、新たな環境対応用途の情報収集の両方が目的になっていた印象です。
グローバルな知見で支える「脱溶剤×カーボンニュートラル」

── 競合メーカーも多数出展している中で、ダウ・東レとしてどこを強みとして打ち出しているのでしょうか。
ダウ/ ボーさん(以降、敬称略):私たちの一番の強みは、グローバルカンパニーとしての知見と経験です。ヨーロッパをはじめ海外では、無溶剤型やエマルション型など、脱溶剤化がすでに大きな流れになっています。当社は、そこで蓄積してきた豊富な実績やノウハウを、日本のお客さまと共有しながら、新しい用途・新しい処方を一緒に開発できることが大きな価値だと考えています。
鍋島:日本の剥離剤・粘着剤市場は、今も溶剤型がメインです。一方で、海外ではエマルション型や無溶剤型が広く使われています。今回の展示では、そうした海外で先行しているエマルション型製品も紹介し、「海外ではこういう用途で使われている」「カーボンフットプリント削減にどう貢献しているか」といった具体的な情報をお伝えしました。


── 単なる「脱溶剤」だけでなく、カーボンニュートラルもキーワードになっていると伺いました。
ボー:はい。私たちは、脱溶剤だけで完結するのではなく、カーボンニュートラルなソリューションとしてどう貢献できるかを重視しています。たとえば、低温で硬化するシリコーン剥離剤は、乾燥炉の温度を下げることでエネルギー消費を減らせますし、作業環境の負荷低減にもつながります。さらに、製造プロセスそのものでもCO2削減に取り組んでいます。シリコーンの原料となるメタルシリコンを電気分解で製造する際に、再生可能エネルギーや植物由来の還元剤を使うことで、シリコーン製造時に排出されるCO2(カーボンフットプリント)を大きく低減し、業界平均値より低いシリコーンのカーボンフットプリントを実現しているのです。

── サステナビリティの取り組みとして、上流だけでなく下流側でも活動されているわけですね。
鍋島:そうですね。上流の低炭素なシリコーン製造に加えて、剥離紙リサイクルの業界団体にも参画しています。日本では剥離紙リサイクルを推進する「JECOL」、海外では「CELAB」という団体があり、ダウは両方に加入しています。「剥離紙をどう循環させるか」まで含めてサプライチェーン全体のサステナビリティに貢献することが、他社との差別化ポイントになっていると考えています。
日本市場の「高品質」と、これからの環境対応の行方

── 日本のお客さまから見たときの特徴や傾向は、どのように感じていらっしゃいますか。
ボー:日本のお客さまは、長年の実績がある溶剤型が好まれる傾向があります。その一方で、「海外ではどう使われているのか」「他の国のトレンドは?」といったグローバル情報には強い関心を持っておられます。
鍋島:そこで私たちが意識しているのは、単に新しい製品を紹介するのではなく、海外での実績や用途事例をセットで紹介することです。「このエマルション型は、ヨーロッパでこういう用途に使われている」「こういう規制に対応するために採用されている」といった具体例をお伝えすると、「それなら自社でも検討してみようか」と、興味の温度感が一段上がるのを感じます。
── 今回の展示会を通じて、お客様の“環境対応”への意識の変化はありましたか。
ボー:他の国と比べても、リサイクルやサステナビリティに対する日本のお客さまの関心は高まっていると感じます。もし具体的なニーズがあれば、私たちはすでにサポートできる体制を整えています。お客さまのニーズや課題の声を、今回のような展示会の場を通じてもっと拾っていきたいですね。
本江:私たちはどちらかというと“川上側”にいるのですが、展示会では、実際に製品を世に出しているコンバーターやユーザー企業の方々と直接会話できます。「実際の現場で、どんなことが求められているのか」「どこにボトルネックがあるのか」が、ようやく具体的に見えてきたと感じていますね。
── 今後、日本国内での脱溶剤化や環境配慮型材料の採用は、どのように進んでいくとお考えですか。
ボー:環境配慮の流れは、間違いなく加速していくと思います。安全性に配慮した材料へのニーズや、フロロベース製品ではなくシリコーンベースの製品、そして低温で硬化することでエネルギーを抑え低炭素を実現する製品など、さまざまな角度からの要請がすでに出てきています。そうした要求に応えられるシリコーン剥離剤・粘着剤のラインアップを揃え、用途ごとに最適なソリューションをご提案していきたいですね。
鍋島:今回の展示で、環境配慮型製品への関心の高さと同時に、「具体的にどう使えば良いのか」「自社のプロセスにどう組み込めるのか」といった、より踏み込んだ相談が増えていると感じました。今後は、展示会での出会いをきっかけに、試験施工・評価・採用・横展開という流れを、パートナーである三井物産プラスチックさんと一緒にさらに加速させたいと思っています。
本江:私たちにとっても、今回の出展は「製品を紹介する場」から「お客さまと一緒に将来の選択肢を考える場」へと、意味合いが変わってきたと感じる機会でした。今後も、展示会やウェブでの情報発信を組み合わせながら、“知ってもらう”から“実際に使ってもらう”、そして“一緒に新しいソリューションをつくる”関係へと進化させていきたいですね。
国内での販売実績や導入事例のご紹介も
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ボー・パークさん
ダウケミカル
Pressure Sensitive Industry Marketing Manager
2019年以降、シリコーン剥離剤・シリコーン粘着剤のマーケティングに従事。

鍋島秀行さん
ダウ・東レ株式会社
コンシューマーソリューションズ事業本部
化学品事業部 剥離・粘着部 部長
2017年以降、シリコーン剥離剤・シリコーン粘着剤の拡販に従事。

本江
三井物産プラスチック株式会社
営業第1部門 化学品・添加剤事業部 工業化学品グループ
シリコーンマーケットデベロップメントマネージャー。2021年入社。
入社以降、シリコーン製品の拡販に従事。








